デグネコ本舗タイトル
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15
 グルガン族の集落から、まっすぐまっすぐ北東へ。一晩の野宿を挟んで起伏のない草原をひたすら歩けば、やがて、海に突き出た菱形の岬にたどり着く。
 緑の草がざわざわ揺れる岬の中央、天を突き刺すように建っているのは、鈍い灰色に輝く円塔。その塔を構成するのは、石でもレンガでも金属でもない不思議な素材。ラーンが「これ、何だろう?」と興味津々触れた途端、「わっ」と叫んで手を引っ込めた。
「この塔、なんだか、微妙に振動してるみたい」
「なんか、ずっと、低い音が鳴ってるよな。大きな動物が唸ってるような感じの」
 様々な意味で、今までに見たことのない建物。おそらく、これがオーエンの塔だろう。
 最初に足を踏み入れたのは、いつになく緊張した表情のデッシュ。彼の後について入った四人は、内部の異様さに言葉を失った。
 塔の壁を這うように配された、いくつもの管。その間隙を埋めつくす、大小の歯車。鎖。名前すらわからない部品。それらが渾然一体となって、ゴトゴトギシギシ動いている様は、まるで、途方もなく巨大で得体の知れない化け物の体内に迷い込んでしまったかのよう。思わずユールはぶるりと震えた。
「何なの……これ」
 ナータは、さぁなぁ、と首を振る。
「理屈はよくわかんねーけど、シドの飛空艇の機関室もこんな感じだったな。これで、何を制御してるんだろうな?」
 本当にね、と、ラーンが頷く。
「この塔に、デッシュさんに関係する何かがあるんだね。気合入れて行くぞぉ~!」
 塔を駆け上っていく一行を、お馴染みの魔物が通せんぼ。今回はそれに加えて、ややこしい仕掛けが行く手を阻む。
 どう見ても壁にしか見えない扉や、特定のスイッチを特定の順番で押さなければ出現しない通路、中には「パスワード」なる秘密の言葉を入力しないと開かない扉などもあり、一行の頭を悩ませる。
 様々な記号の書かれたボタンがいくつもずらりと並んだもの(キーボードというらしい)を前に、ああでもない、こうでもない、と悪戦苦闘。
 知恵熱が出そうになったところで「そういえば、ここのキーワードは、確か……」デッシュの長い指がキーボードの上で軽やかに踊ると、がちゃん。何らかの仕掛けが動き、扉のロックは解除された。
「凄〜い!」
 例によって、ラーンが感嘆の叫びを上げる。
「やっぱりここは、デッシュさんと関係があるんだ!」
「んん~。そうだなぁ。この風景には見覚えがあるような気がするし、何か、あるんだろうな。それにしても……」
 デッシュが何か言おうとした瞬間、真っ赤な閃光が塔内を走った。
「わっ!」
「何?」
 その閃光は、直接の支障がある訳ではないけれども、時折、予告も何もなしにビカッと光るので、心臓に悪い。
「んもう! この光、いったい、何なのかしら?」
「上の方で光ってるみたいだよ」
「それじゃ、早く行って、どうにかしましょ!」
 鳥女のフリアイや、醜悪な小悪魔ファージャルグといった魔物を撃退しながら、一行は最上階へとなだれ込んだ。
 ホールのように広々とした空間の中央に、柵に囲まれた穴があり、そこから、時折、真っ赤な火柱が吹き上がるのが見える。
「これが、あの光の正体か。すっげーな、よく燃えてら」
 呑気に呟くナータの横で、デッシュが脂汗が浮かぶ額を押さえながら、喘ぐように言った。
「なんてことを……! いったい、誰が、こんな」
「それは~」
「僕達で~す」
 突如、何の前触れもなく、一組の双子が姿を現した。
NEXT→16*動力炉を巡る攻防に続く
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